↺ 2021/05/18 更新
今、大きな話題になっている「入管法改定案」。
改正案がいつ採決されるのか明確にはなっていませんが、
与野党は5月7日の衆院法務委員会での採決は見送ることで合意しました。
※2021/05/18 追加 ↓↓
政府、与党は18日、入管難民法改正案を取り下げる方針を決め、
実質的な廃案が決定しました。
「状況が悪化すること」はとりあえず阻止できましたが、ここからが本当のスタート。
この件で問題が浮き彫りになり、これから日本社会はどう変わるのか。
スリランカ人女性死亡事案の映像開示については拒否されたままです。
------------(5/18 追加分ここまで)------------
『与党側は同日朝、採決する意向を伝えていたが、
野党側は、3月に収容中のスリランカ女性(当時33)が死亡した事案の真相解明が不十分であるとして、慎重審議を求めていた。』
この記事では…
- 「入管難民法の改正案」とはどんなものなのか
- なぜ廃案を求める訴えが続いているのか
- 日本の難民認定率は欧米各国と比べるとどれくらいの差があるのか
難民申請に関する自国で起こっている問題・現状について、
改めて向き合って考えたいと思います。
「入管法改定案」とは?廃案を求める声
「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案」
この法案では、国外退去の命令に従わない場合、1年間の懲役または20万円以下の罰金となる可能性がある。
ただそもそも、退去強制令書が出された人々の9割以上は、送還に応じている。それでも帰国をできない人々は、「命の危険がある」「家族が日本にいる」「生活の基盤の全てが日本にある」など、帰れない事情を抱える人たちなのだ。
加えて問題視されているのは、法務省が難民と認めない決定を2回下せば、以降は強制送還が可能になってしまう仕組みだ。
つまり、何らかの事情を抱え3回以上難民申請をしている外国人が、迫害の恐れのある国に帰されてしまう可能性があるということだ。
引用元:
「仲間ではない人は死んでいい、がまかり通ってはいけない」―入管法は今、どう変えられようとしているのか | Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)
現在の入管難民法は、自国で迫害される恐れがあり、難民認定の手続きをしている人は送還しない規定があります。
それが撤廃され、助けを求めている人達を強制的に自国へ追い返すことが認められてしまうというのが、今回の改定案の大きな問題点のひとつ。
何のために危険な場所から逃れてここまで辿り着いたのか。
困窮している人々を救うための改定どころか、その真逆です。
ただでさえ仮放免者は、就労が許されず、健康保険にも入れず、入管の許可なしに居住する市区町村からも出られないという「無権利状態」に置かれています。
改正案では、このような状況にある人たちにさらに刑事罰を課し「送還忌避者」として「犯罪者」に仕立て上げようとしているのです。
引用元:キャンペーン · 難民を「犯罪者」にする「入管法改定案」の廃案を求めます! · Change.org
ミャンマーから逃れ、3回目の難民申請をしている少数民族の40代女性は法案について「帰ることは絶対にできない。『ミャンマーで死んで』と同じ意味」と批判。
入管施設から一時的に収容を解かれる仮放免中のナイジェリア人女性のエリザベスさん (52) は「(社会保障がなく) 治療も仕事もできず、どうすればいいのか」と苦境を訴え、「なんで日本政府は難民の人をいじめるの」と憤った。
引用元:
【動画あり】入管難民法改正案、どんな内容?問題点は?当事者ら「いじめはやめて」と廃案訴え:東京新聞 TOKYO Web
また、これらの外国人に対し支援者が食料を支援したり励ましたりすることは「送還忌避罪」の共犯として処罰の対象となります。
在留資格のない親のもとに生まれ退去命令を受けている子どもに対し「帰国しなくてもいいよ」と言って励ましたり、困窮して路頭に迷う人に住む場所を提供することは、刑事罰の対象となり得るのです。
メディアが非正規滞在者について報道することも困難になると考えられます。
非正規滞在者は市民社会から隔絶され、入管による人権侵害の実態はますます覆い隠されるようになるようになるでしょう。
引用元:キャンペーン · 難民を「犯罪者」にする「入管法改定案」の廃案を求めます! · Change.org
入管施設で何が起こっているのか
今年3月6日、名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていたスリランカ人の女性(33)が亡くなったことが報じられた。支援団体は、女性が歩けないほど衰弱し、嘔吐してしまうため、面会中もバケツを持っていたと指摘している。
2007年以降、入管施設では17人の方が亡くなり、そのうちの5人は自殺だった。
指宿弁護士は、「その責任を入管は一切とっていません。収容をするからには、命を守る義務があります。それができないならすぐ外に出すべきなんです」と指摘する。
「名古屋入管で亡くなったスリランカ人の女性は、1月後半から食事がとれなくなり、20キロ以上体重が落ちてしまっていました。点滴をして下さいと本人も支援者も訴え続けましたが、入管はそれをせずに死なせてしまった。この責任を全くとることなく、入管側の権限を強化する改悪などありえないはずです」
引用元:
「仲間ではない人は死んでいい、がまかり通ってはいけない」―入管法は今、どう変えられようとしているのか | Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)
アフリカ・カメルーン出身の女性 (42歳) も難民申請をし続けていましたが、
2度にわたり入管施設に収容され、全身に転移した癌が原因で命を落としてしまいました。
(最終的に顔写真付きの在留カードが届いたのは、亡くなった後のことでした。)
紛争や迫害で国を追われ、日本にたどり着いた方々が
安心を取り戻すどころか、ここで命を落としてしまう…
難民としてすでに十分辛い思いをたくさんしてきたのに、
これでは救いがありません。
日本の低すぎる「難民認定率」
確かに地理的要因(難民が多い国と国境を接する国などと島国である日本では大きな違い)もあるため、難民認定率のみを単純に比較するのは適切ではないのもかもしれませんが、
日本で2019年に難民申請をした1万375人のうち、
認定されたのはたったの 0.4% (44人) でした。
コロナ禍で国際的な移動が制限された2020年は、
認定率は 1.2% とわずかに上がりましたが(認定者数は47人)、
申請者自体は6割減。
難民認定率が2~5割の欧米各国に比べ、日本は圧倒的に低いです。
支援者の1人で外国人問題に詳しい指宿昭一弁護士は「今は難民不認定制度だ」と語り、認定の基準や手続きを国際基準に合うように変える必要性を説いています。(山田晃史)
引用元:
【動画あり】入管難民法改正案、どんな内容?問題点は?当事者ら「いじめはやめて」と廃案訴え:東京新聞 TOKYO Web
私たちが今すぐできるサポート
「知ろうとする」「能動的に情報を集める」ことは
無関心・無知でいることとは大きな差がありますが、
問題は知ったうえで、どう行動に移すか。
「私にできることなんて、何もないかもしれない…」
それならまず、署名に参加することから始めてみてはどうでしょうか。
「変えたい」気持ちを形に をモットーにしている Change.org
「難民を「犯罪者」にする「入管法改定案」の廃案を求めます!」
- 発信者:NPO法人POSSE 外国人労働サポートセンター
- 宛先:法務省出入国在留管理庁 、他2箇所
2021年5月10日 (日本時間の) 午前9時現在、
4万4千500件近い署名が集まっています。
追記 ↓↓
2021年5月14日(日本時間の)午前6時現在、
4万5千500件近い署名が集まっています。
(4月14日午前10時点では40,348件だったとのこと。)
キャンペーンについてのお知らせ · 入管庁に署名を提出しました! · Change.org
下記リンクには、POSSE の「クルド難民支援活動」や「学習支援活動」などもわかりやすく簡潔にまとめられています。
キャンペーン · 難民を「犯罪者」にする「入管法改定案」の廃案を求めます! · Change.org
キャンペーンについてのお知らせ · 明日の強行採決を止めよう!入管法改悪反対Twitterデモのお知らせ · Change.org
内容を確認していただき、まだ署名を行っていないという方がいらっしゃいましたら、
ぜひ活動の応援をお願いいたします。
おわりに
この事実を知ったのは、恥ずかしながら、かなり最近のこと。
4月21日の深夜0時からNHKで緊急再放送された、下記の番組がきっかけでした。
もともとは2021年1月23日に放送されていたようですが、
当時はまだイギリスで生活していました。
そのタイミング(2021年4月下旬)での再放送となったのは、
おそらくこのオンライン集会を呼びかけることも、
大きな理由のひとつだったと思います☟
【オンライン】入管法改悪反対!緊急院内集会 ~移民・難民の排除ではなく共生を~ : アムネスティ日本 AMNESTY
日付も変わり、次の日の仕事に備えて寝る準備をしていたのですが、
なんとなくつけっぱなしになっていたテレビから流れてくる情報があまりにも衝撃的で、
気が付くとのめり込むように見入っていました。
たった1時間の番組でしたが、
ナイジェリア出身のエリザベスさんのこれまでの経緯、
日本の実状の酷さが映し出されていて、深く考えさせられました。
エリザベスさんを含む、在留資格を失った後も
帰国できない理由を抱えながら日本での生活を続けている、
10名の方の「日本にいる理由」☟
Open the Gate for All : だから、わたしはここにいる
私自身は過酷な経験をしたわけでもなく、
人に伝えられるほどの情報を持っているわけでもありません。
ただ、何気なく流れてきたテレビからの声が
私に調べるきっかけを与えてくれたように、
この記事が読者の皆さまにとって
「この事実をもっと他の人に伝えたい」「何か行動を起こしたい!」と働きかけるきっかけの一部になることができればと願い、
まだまだ知識不足ではありますが、こうして形にさせていただきました。
(すでにご署名されている方が大半だったかもしれませんが、「私もしていましたよ!」というお声を聞かせてもらえると嬉しいです。)
拙い文章で恐縮ですが、貴重な時間を使って目を通していただき、
本当にありがとうございます。
「今の自分にできること」はほんの些細な事かもしれませんが、
まずは問題と向き合い、署名などできることから参加し、
それを広げていくことを今後も続けていきたいです。
お忙しい中最後まで読んでいただき、ありがとうございました。