
スロバキアの山あいに、白い幾何学模様が描かれた木造家屋が並ぶ小さな村があります。
その名も「チチマニ村(Čičmany)」
まるで家全体に刺繍を施したような独特のデザインが特徴で、以前から一度訪れてみたいと思っていた場所のひとつでした。

実際に訪れてみると、写真で見ていたかわいらしい家々はもちろん、
村の中にある博物館も想像以上に見応えあり。
民族衣装や昔の生活用品だけでなく、結婚式や出産、葬儀など、かつてこの村で暮らしていた人々の生活や風習についても詳しく知ることができました。
この記事では、実際にチチマニ村を歩いて撮影した写真とともに、
村の見どころや博物館の展示、アクセス・駐車場などについてご紹介いたします。
- チチマニ村ってどんなところ?
- チチマニの家に描かれた白い模様
- 昔の暮らしを知るなら博物館へ
- チチマニ村のお土産・インフォメーションセンター
- チチマニ村へのアクセス
- 車で訪れる場合・駐車場
- この記事で紹介しているチチマニの歴史・文化について
- おわりに
チチマニ村ってどんなところ?

スロバキア北西部、Žilina(ジリナ)県の山あいにある小さな村、チチマニ(Čičmany)
標高655mに位置し、Žilina地区では最も標高の高い村です。
Rajčianka川の源流近く、Strážovské vrchy(ストラージョフ山地)の自然に囲まれた場所にあります。

チチマニの歴史は古く、村について残されている最古の文献記録は1272年にまで遡ります。
そんなチチマニを有名にしているのが、白い幾何学模様が描かれた伝統的な木造家屋。
家の外壁に白い模様を描くようになったのは約250年前とされ、当初は波線や十字、小さな円などのシンプルな模様が中心でした。
その後、チチマニの伝統的な刺繍から着想を得た幾何学模様などが取り入れられ、現在見られるような独特の装飾へと発展していきました。

こうした歴史的な景観を守るため、村の下部は1977年に「民俗建築保護区」に指定されています。保護区内には115の建造物があり、そのうち33棟は国の文化財に指定されています。
村を歩いていると、家ごとに少しずつ異なる白い模様を見ることができ、まるで村全体がひとつの野外博物館のよう。
チチマニの家に描かれた白い模様

チチマニの伝統的な家屋は、周辺の森林から採れる木材を使って建てられたログハウスです。
博物館の展示によると、現在チチマニのシンボルとなっている白い装飾には、200年以上の歴史があるそう。
もともと使われていたのは白い石灰塗料で、木材を厳しい天候から守るという実用的な役割がありました。それだけでなく、悪い力から人々を守るという意味も込められていたといわれています。


最初から現在のような複雑な模様が描かれていたわけではなく、初期には線や円、十字などの比較的シンプルなデザインが、窓や扉、家の角などに描かれていました。
現在見られるような華やかな装飾が発達したのは、1921年に村を襲った大火災の後。
その後、チチマニの伝統的な刺繍に使われていた模様などを取り入れながら、現在のような装飾へと発展していったそうです。
昔の暮らしを知るなら博物館へ

チチマニ村では、伝統家屋を利用した博物館を見学することができます。
入場料は大人1人 5€で、チケットには 2つの建物の見学が含まれています。
ひとつが「Radenov dom(ラデナの家)」
展示によると、1921年の大火災後に行われた村の復興の中で、建築家ドゥシャン・ユルコヴィッチ(Dušan Jurkovič)のプロジェクトに基づいて1924年に建てられた家です。
1966年に博物館によって購入・改修され、翌1967年からチチマニの民俗文化を紹介する展示施設として公開されました。

(August 2026)
そしてもうひとつが「House No.42」
こちらは資料によって「Mlynárce」とも呼ばれている建物で、1913年に建てられたもの。
かつて古い製粉所があった場所に建てられ、その製粉所を解体した際の木材の一部も建築に再利用されたそうです。
チチマニの民族衣装

博物館の中でも特に目を引いたのが、色鮮やかな刺繍が施された民族衣装。
女性の衣装にはリネンや羊毛、亜麻などが使われ、刺繍やレースで美しく装飾されていました。
普段着と日曜日や祝祭日に着る衣装にも違いがあり、さらに未婚・既婚などによっても服装や髪型が異なっていたそうです。

男性の仕事着は女性の衣装と比べると比較的シンプルで、動きやすさを重視した実用的なもの。
子どもたちの衣服についての展示もあり、年齢とともに身につけるものが変わっていったことが紹介されていました。
衣装を単に展示するだけでなく、「誰が、どんなときに着ていたのか」まで説明されているので、当時の暮らしを想像しながら見ることができます。
出産や子育てにもさまざまな風習が
展示では、チチマニでの出産や子育てについても紹介されていました。
20世紀半ばごろまで、村の女性たちは自宅で出産するのが一般的だったそうです。
出産時には「babicuľa」と呼ばれる助産をする女性が立ち会い、母親を手助けしました。
当時は出産や赤ちゃんの健康をめぐって、さまざまな言い伝えや儀式も存在していました。
赤ちゃんを悪いものから守ったり、健康に育つことを願ったりと、現在とはかなり異なる習慣があったことが分かります。
洗礼も非常に重要な行事のひとつで、博物館の説明では、生後6~14日ほどで行われていたと紹介されていました。
昔の結婚式は3日間!
当時の結婚は、新郎新婦二人だけのものではなく、家族や村全体にも関わる大きな出来事でした。
結婚相手を決める際には両親も大きく関わり、相手の家の経済状況なども重要視されていたそうです。
そして驚いたのが、昔の結婚式は通常3日間にわたって行われていたということ!
教会で結婚式を行って終わりではなく、花嫁を新郎の家へ迎え入れたり、結婚した女性としての髪型へ変えたりと、さまざまな儀式が行われていました。
結婚式の準備にも家族や親戚、村の人々が関わっており、結婚が村にとってどれだけ大きなイベントだったのかが伝わってきます。
葬儀にも独特の風習が残っていた
結婚や出産だけでなく、「死」についての展示もあります。
昔のチチマニでは死は現在よりも日常生活に近い存在で、死の前兆にまつわるさまざまな言い伝えもあったそうです。
人が亡くなると、魂が家から出ていけるように窓や扉を開ける習慣がありました。
さらに鏡を覆い、時計を止め、家の火を消し、水をすべて捨てるといった行為も行われていたと紹介されています。
亡くなった人はすぐに家の外へ運ばれるのではなく、家族や近所の人々がお別れをする時間も設けられていました。
葬儀の後には食事が振る舞われ、服喪にも細かな決まりがあったそう。
現在の生活とは大きく異なる習慣も多く、チチマニで暮らしていた人々の価値観や信仰を知ることができる興味深い展示でした。
一つの家に複数の家族が暮らしていたことも

(August 2016)
チチマニでは羊の飼育や林業、農業などが人々の生活を支えていました。
木を加工した道具や生活用品なども展示されていて、現在とはまったく異なる山村での暮らしを垣間見ることができます。
博物館として公開されている「House No.42」では、かつて複数の家族が同じ家で暮らしていた時期もあったそう。
展示によると、2家族がひとつの部屋を共有し、最も多いときには 4家族がこの家で生活していました。


現在の感覚では想像するのが難しいですが、建物を見るだけでなく、そこで実際にどんな生活が営まれていたのかを知ることで、チチマニの家々の見え方も少し変わってきます。
チチマニの博物館|営業時間・入場料

営業時間
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月曜日:休館
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火~金曜日:9:00~12:00/12:30~15:00
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土・日曜日:8:00~12:00/12:30~16:00
※12:00 ~ 12:30は一旦クローズするので注意してください。
入場料
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大人:5€
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割引料金:2.50€
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ファミリーチケット:12.50€
大人5€のチケットで2つの建物を見学することができます。
※「House No.42」は通常鍵がかけられており、「Radenov dom」を見学し終わった後に、係の人についていき、開錠していただきます。
公式案内による見学時間の目安は約 30分。
実際に私たちも30分くらい滞在したと思います。
英語の解説も用意されているので、スロバキア語が分からなくても展示内容を知ることができました。
※営業時間・料金は変更される可能性があるため、訪問前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
チチマニ村のお土産・インフォメーションセンター

村には観光案内所(インフォメーションセンター)があり、ちょっとしたお土産も販売されています。
チチマニらしい白い模様をモチーフにしたグッズなどが並んでいて、私はここでマグネットを購入しました。
このマグネットがとっても可愛くてお気に入り!

村の中にはインフォメーションセンター以外にもいくつかお土産を購入できるお店が点在しているので、散策しながら覗いてみるのも楽しいです。
実際に訪れたインフォメーションセンターの様子や、購入したマグネット、村で見かけたお土産屋さんについては、こちらの投稿でもご紹介しています☟
Čičmany 🇸🇰 Slovakia
— トラリブ🇸🇰 𝑇𝑜 𝑡𝑟𝑎𝑣𝑒𝑙 𝐼𝑆 𝑇𝑂 𝑙𝑖𝑣𝑒 (@tra_live_) August 18, 2026
Slovenské suveníry
📍 Čičmany 293, 013 15 Čičmany
インフォメーションセンターのお隣にある、
小さなお土産屋さん
こちらは目の前でおじいちゃんが作っていて
一人で販売もされています。 pic.twitter.com/1LyiwmsR0b
チチマニ村へのアクセス

チチマニは山あいにある小さな村なので、ブラチスラバなどの主要都市からは少しアクセスしづらい場所にあります。
今回は車で訪れましたが、公共交通機関を利用する場合は、ブラチスラバからまずŽilina(ジリナ)へ向かい、そこからバスでチチマニへ行く方法があります。
ブラチスラバ中央駅(Bratislava hl.st.)からŽilinaまでは直通列車が運行しており、所要時間は列車によっておよそ2時間~2時間20分。
Žilinaからは、SAD Žilinaが運行する137番バス「Žilina – Rajec – Čičmany」でチチマニまで行くことができます。
※チチマニまでのバスは本数が限られているため、公共交通機関で訪れる場合は、行きだけでなく帰りのバスの時間まで事前に確認しておくことをおすすめします。
※ダイヤは変更される可能性があるため、訪問前に最新の時刻表を確認してください。
車で訪れる場合・駐車場

今回は車でチチマニを訪れました。
村には有料の公共駐車場があり、私たちもこちらを利用しました☟
駐車料金は 1時間 1€、1日最大 7€でした。
(2026年8月当時)
村の中には他にも車を停められそうな場所がありますが、場所によってはSMSで駐車料金を支払う必要があります。
初めて訪れる場合は、分かりやすい有料駐車場を利用するのが安心だと思います。
※駐車料金や支払い方法は変更される可能性があるため、現地の表示も確認してください。
この記事で紹介しているチチマニの歴史・文化について

この記事でご紹介しているチチマニの伝統的な暮らしや民族衣装、出産、結婚、葬儀などに関する内容は、現地の博物館を訪れた際に展示されていた解説をもとに要約しています。
展示にはスロバキア語だけでなく英語の解説もあり、今回の記事では主に英語の解説を参考にしました。
下の写真は、実際に博物館内に展示されていた解説パネルです☟




おわりに

白い模様が描かれたかわいらしい家々を見ることが、チチマニ村を訪れた一番の目的でした。
もちろん実際に村を歩いて見る景色も素敵でしたが、思っていた以上に面白かったのが博物館。
なぜ家に白い模様が描かれるようになったのか、昔の人たちはどんな服を着て、どんな仕事をしていたのか。
さらに出産、結婚、葬儀など、人の一生に関わる風習まで知ることができます。


外から家を見るだけでもチチマニらしい景色は十分楽しめますが、博物館を見学した後でもう一度村を歩いてみると、それまで「かわいい」と眺めていた家々が、実際に人々が暮らしてきた場所として見えてくるのも印象的でした。
チチマニを訪れるなら、村歩きとあわせてぜひ立ち寄ってみてほしいです。
チチマニ村から車で約 40分のボイニツェ城もおすすめ!


城内を案内してくれるツアーに参加した時の様子を、記事にまとめています☟
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貴重なお時間を割いて最後まで読んでいただき、
本当にありがとうございました ⸜( ´ ꒳ ` )⸝ ♡♥
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