2021年の 6月 23日から流通が始まった、新50ポンド札。
紙幣の表面にはエリザベス女王の顔が印刷されていますが、
裏側は国の発展に貢献した人物が選ばれます。
今回採用されたのは、第2次世界大戦中にドイツの暗号機「エニグマ」を解読し、
人工知能の概念を生み出した、英国の数学者アラン・チューリング。
採用が決定されたのは、2019年 7月のことでした。
日経 や Yahoo!ニュース でも紹介されていたようです。
流通が始まった 6月23日は、チューリングの 109回目の誕生日。
この記事ではアラン・チューリングについて、
そして、アラン・チューリング・メモリアルのある、
マンチェスターのサックビル・ガーデンズを写真と共にご紹介いたします。
※この記事に掲載されている写真は、2021年2月下旬にマンチェスターのゲイ・ビレッジを訪れた際にカメラ(OLYMPUS PEN Lite E-PL5)で撮影したもの、2019年夏にマンチェスター市内で撮影したものが混ざっています。スマートフォンで撮った写真は若干サイズを加工していますが、カメラで撮ったものは無加工のまま載せています。
サックビル・ガーデンズ
サックビル・ガーデンズ(Sackville Gardens)は
マンチェスターのゲイ・ビレッジ(Gay Village)にある小さな公園です。
マンチェスターのシンボルである、BEEのオブジェもあります。(写真上)
ゲイ・ビレッジについては、こちらの記事で紹介しております☟
公園内にはアラン・チューリングを称える、アラン・チューリング・メモリアルがあります。
Unveiled in 2001, the figure sits on a bench, which is itself made of bronze, holding an apple which is likely meant to signify the biblical fruit of knowledge.
引用元:Alan Turing Memorial – Manchester, England - Atlas Obscura
青銅でできているこちらの銅像は、2001年に公表されたようです。
手元にあるのはリンゴ。
リンゴは聖書にある「知恵の実」とされていますが、
チューリングの死因(青酸中毒)を考えると、少し複雑な気持ちになります。
真相は不明ですが、一説によると家族や友人に自殺と悟られないように、
青酸カリを塗ったリンゴを食べたのではないかと言われています。
アラン・チューリングについて
1912年にロンドンで生まれたアラン・チューリング。
ケンブリッジ大学へと進み、数学で最優等の成績を収めました。
第2次世界大戦中には「ブレッチリー・パーク」で暗号解読機を開発。
これにより、ナチス・ドイツの暗号解読に多大な役割を果たし、
連合国の勝利に貢献しました。
He was also played a key part in the development of early computers, first at the National Physical Laboratory and later at the University of Manchester.
引用元:New face of the Bank of England's £50 note is revealed as Alan Turing - BBC News
「エニグマ」解読のほかにも、
英国立物理学研究所で初期のコンピューター開発に着手し、
後にマンチェスター大学で研究を進めました。
演算処理を機械に命令する「アルゴリズム」の概念確立に貢献し、
現在のコンピューターの基礎を作った人物としても有名です。
During his life, he worked almost entirely in secret and it wasn't until long after his death that the legacy of his life and work came to light.
His war-time efforts had a huge influence on the development of computer science and artificial intelligence.
引用元:New face of the Bank of England's £50 note is revealed as Alan Turing - BBC News
しかしながら、彼の功績が一般の人に広く知られるようになったのは、
彼の死後のこと。
戦時中、イギリス軍がエニグマ解読に成功していたことは、機密情報であったためです。
(ナチス・ドイツ軍を惑わすために、解読成功後もわざと仲間の命を犠牲にする決断を下していたことを英国民に秘密にするため、彼の功績も公表されることはありませんでした。)
現在の私たちの生活にも、大きく影響を与えるほどの功績を遺したチューリングですが、
時代に恵まれず、不遇な最後を迎えてしまいます。
1952年、チューリングの自宅に泥棒が入り、
その捜査の過程で彼自身が同性愛者であることが警察に知られてしまいました。
当時のイギリスでは同性愛行為は違法であり、
わいせつ罪で有罪になってしまったチューリング。
刑務所に入るか保護観察かを選択しなければならず、
後者を選んだものの、性欲を抑えるためにホルモン注射を余儀なくされました。
「化学的去勢」を受け続けたチューリングは、
1954年6月、自宅で死亡しているのが発見されました。
死因審問の結果は自殺。(先程のリンゴの話に繋がります。)
イギリスで同性愛行為が違法ではなくなったのは、1967年。
チューリングの死から13年後のことです。
チューリングを同性愛者として迫害したことについて
謝罪を求める署名活動が高まり、
英政府は2009年に謝罪、2013年に恩赦を与えました。
今では同性婚も認められているイギリス。
多様性が認められる社会へと動きが高まっていますが、
50年ほど前までは理解どころか犯罪だったなんて…
そう考えると、改めて時代の急激な変化に驚かされます。
私がアラン・チューリングのことを深く知ったきっかけは、
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』 という映画でした。
第2次世界大戦時、ドイツの世界最強の暗号エニグマを解き明かした天才数学者アラン・チューリングの波乱の人生を描いた伝記ドラマ。
劣勢だったイギリスの勝利に貢献し、その後コンピューターの概念を創造し「人工知能の父」と呼ばれた英雄にもかかわらず、戦後悲劇の運命をたどったチューリングを、ベネディクト・カンバーバッチが熱演する。
引用元:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 (2014):あらすじ・キャスト・動画など作品情報|シネマトゥデイ
マンチェスターで2年間生活していた頃、テレビでも再放送されていました。
個人的に好きな俳優さん(マーク・ストロングとキーラ・ナイトレイ)が出ているのも、ポイントが高いです。
当時の状況をリアルに感じられる、おすすめの映画です。
amazon プライム会員の方は、
追加料金なしで視聴できます。(2021年8月現在)
おわりに
新50ポンド札の流通が始まった6月は、「プライド月間」でした。
プライド月間とは何かについては、こちらの記事で解説しています☟
マンチェスターでは 8月末にプライド・フェスティバルが開催されます。
Manchester Pride Festival is one of the worlds leading celebrations of LGBTQ+ life.
The Festival is made up of a number of events, some are free to attend and some require you to purchase a ticket.
Our events fall under the 6 key strands of the Festival:
- Equality
- Arts & Culture
- Community
- Party
- Activism
- Youth & Family
Manchester Pride Festival 2021 takes place from 27th - 30th August.
引用元:FESTIVAL – Manchester Pride
2019年の夏は、タウンにあるお店の看板も一時的に
レインボーカラーに変更されていました。
(どちらの写真も2019年8月16日 撮影)
コロナの影響で、2021年はデジタル(オンライン)で開催される可能性もあるとのこと。
詳しくは、下記公式HPをご確認ください。
フェスティバルを主催している団体、Manchester Pride については
下記公式HPをご確認ください。
Manchester Pride is one of the UK's leading LGBTQ+ charities.
Our vision is a world where LGBTQ+ people are free to live and love without prejudice.
We are committed to improving the lives of LGBTQ+ people in Greater Manchester and beyond.
We are part of a global Pride movement that celebrates advancements in equality and challenges discrimination faced by LGBTQ+ people.
LGBTQIA+について、過去にこんな記事も書いています☟
貴重なお時間を割いて最後まで読んでいただき、
本当にありがとうございました ⸜( ´ ꒳ ` )⸝ ♡♥
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