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YMS 2018後期当選・ 2019年3月~ Manchester / UK暮らし

ノンバイナリーな敬称 "Mx"、音楽の持つ力

 

英語を使ってコミュニケーションをするとき、日本語では意識していなかった問題に直面することがあります。

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日本語で敬称を付ける場合は「〇〇様」「〇〇さん」(使用頻度は限られるかもしれませんが「〇〇殿」など特に相手の性別を意識する必要はありませんが、

英語の場合、男性には “Mr”女性には “Ms” をつけることが多いと思います。

未婚の場合 “Miss”, 既婚の場合“Mrs” を使用することもできますが、どちらも結婚しているかどうかで区別をする言葉なので、相手が望まない限りは使わない方がいいと思います。)

 

では、男性・女性のどちらにも当てはまらない人性が変動する人男女の区別にとらわれない考え方をする人の場合はどう表現したらよいのでしょうか。

 

2015年に Oxford English Dictionary に収録された “Mx” という敬称を使うのも一つの方法です。

他にも男女二元論にとらわれない敬称はいくつも存在します。

 

この記事では「ノンバイナリーな敬称・英単語「カナダで初めて性別欄にノンバイナリーと記された公的な身分証明書を手に入れた人権活動家のGemma Hickeyさんの話」、そして「音楽の力でセクシャル・マイノリティーを支持するアーティスト」についてご紹介させていただきます。

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この記事に掲載されている写真は、2020年夏・秋に近所を徘徊した際にスマホで撮影したものです。

 

  ◆◇◆◇◆ 目次 ◆◇◆◇◆

男女二元論にとらわれない英単語

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日本語ではよく主語を抜いて話しをすることがありますが、英語の場合は言語の構造上、それが例え知らない誰かであっても、“He” “She” など主語を使わないと文が成り立ちません。

 

最近では性別を限定しない代名詞として、単数形の they(singular theyという文法が広まりつつあります。

 

ENGLISH JOURNAL のオンライン記事、『LGBTなど多様な性の英語表現:敬称や代名詞はどうする?注意点は?』には性別を限定しない代名詞としての "they" に関して、このように記載されています。

  • 動詞の活用は三人称単数(He/She)と同じ。
  • ただし、be動詞は複数形の形(are/were)になることが多い。
  • 本人を指す再帰代名詞は、themselvesではなく、単数のthemselfになる。

 

こうした用法は、少なくとも19世紀から議論されている、歴史あるもの。
 
「Oxford」や「Merriam Webster」といった有名辞書の公式サイトや、出版業界人向け文法・表記マニュアルである「The Chicago Manual of Style(CMOS)」、報道記者向け文法・表記マニュアルである「AP Stylebook」にも収録されています。

 

nonbinaryな英単語は時代と共に増加しているようです。

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『LGBTなど多様な性の英語表現:敬称や代名詞はどうする?注意点は?』より引用

 

*印のnibling/pibling/auncleについては比較的新しい単語なので、まだ辞書には載っていないかもしれません。

 

言語は生き物なので、時代の変化と共に新しく作られたり、変容していくのも面白いですね。

 

冒頭で少しお伝えした敬称についてですが、Mx の他には Individual の略として Ind. や、 Person の略で Pr. という言葉も生まれてきているようです。

(個人的にはまだ浸透しているようには感じられないのですが、これから目にする機会・耳にする機会も増えていくのでしょうか。)

 

 

少し昔の出来事になりますが(2017年3月)国際的金融グループの HSBC では Mr./Mrs./ Ms./Mx. に加え、さまざまな敬称を選択することができるようになったという記事もBBCから出されていました。

 

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“HSBC adds new transgender titles including M and Misc” より引用

www.bbc.co.uk

 

ちなみに、私が持っているイギリスの銀行口座も HSBC です。

(特にこだわりがあったわけではなく、勤めていた会社と提携していたのでこちらの銀行で口座を開設しました。)

 

他にnonbinaryな代名詞や敬称がどのように使われているのか知りたいと思われた方は、今回私が参考にさせていただいた下記記事にも、ぜひ目を通していただければ幸いです。

 

ノンバイナリーの人権活動家、Gemma Hickeyさんについて

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カナダで初めて「ノンバイナリー」の出生証明書、そしてパスポートを手にしたGemma Hickey(ジェンマ・ヒッキー)さん。

 

この権利を勝ち取るまでの長い道のりを描いたドキュメンタリー映画、Just Be Gemmaの上映会や討論会が東京・赤坂のカナダ大使館で開かれるということで、2019年の2月中旬に来日され、各地で講演などを行われていたそうです。

 

当時私はまだ日本にいましたが、この件に関してはまったく覚えておらず(そんなに情報が広まっていなかったのでしょうか?)、

最近妹から下記の記事を教えてもらい、初めてGemmaさんの話を知りました。

www.buzzfeed.com

 

1976年、カナダ北東部のニューファンドランド・ラブラドール州で「女の子」として産まれたGemmaさん。

 

フェミニンなドレスを着るのが嫌だったり、男の子とデートをしてみてもしっくりこない。女の子として生きることに違和感を覚えつつも、周りに溶け込もうと努力をされていたそうです。

 

 

自分を変えてくれるだろうと矯正セラピストの助けを求めたものの、うまくいかず。

「最後の手段は自ら命を断つことだと考えた」と言われています。

 

あるパーティーの夜、大量のお酒を飲んだ後ありったけの薬を摂取し、病院に緊急搬送されたGemmaさん。

『カトリックの家庭で育ったので、レズビアンとして生きるなら死んだほうがマシだと思いました』

 

幸いにも一命を取りとめたGemmaさんは、病院から戻った後、家族や友人にレズビアンだとカミングアウトをしました。

 

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その後Gemmaさんは LGBTコミュニティを支援するNPOで活動を始め、地元ニューファンドランド・ラブラドール州での同性婚を合法化するための裁判に関わります。

 

結果的に2004には同州での同性婚が実現し、翌年の2005年12には、カナダ全国で同性婚が合法化しました。

 

 

2015年、ニューファンドランド島を徒歩で横断するNPOのチャリティー活動をするまでは、自身を女性の同性愛者・レズビアンとして定義していたGemmaさん。

 

過酷なチャレンジに悲鳴をあげる身体と向き合ううちに、幼い頃から抱えていた自分の身体の違和感について深く考え始めるようになったそうです。

 

『トランスジェンダーの中には、男性・女性いずれかの性がフィットする方もいます。でも、私は違いました。それまで女性として産まれて38年間生きてきたので、自分は男性だと感じることもなかったんです』

 

このことから、自身の性を男女どちらかに属さない「ノンバイナリー」として、改めて定義する決断をされました。

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2017年4月、出生証明書に記された性別を変更するため、州政府の窓口を訪れたGemmaさん。

しかし申請用紙にあったのは男・女ふたつのチェックボックスだけ。

仕方なくGemmaさんは欄外に「ノンバイナリー」の選択肢を書き足しました

 

スタッフは書類を受け取ってくれたものの、申請は受理も却下もされず「審査中」として放置されてしまい、結果ジェンマさんは州の最高裁判所に直接掛けあうことになりました。

 

 

ノンバイナリーとして受け入れられることは、同性婚を認めてもらうことよりも大変だったとGemmaさんは振り返ります。

 

『当時は殺害予告が送られたり、路上で知らない人から罵られることもあった。警察に相談し、引っ越しをしたり、自宅のセキュリティを強化する必要に迫られた。』

 

『異性カップルと同じ権利を同性カップルにも与えるというのは、身近でわかりやすい。一方で、ノンバイナリーは多くの人にとって身近に感じるのが難しいんだと思います』

 

結局8か月後の同年12月にGemmaさんの申請はようやく受理されました。

 

「免許証」「保険証」「出生証明書」に記された性別の変更における第三の選択肢すべてが全面的に認められ、Gemmaさんはカナダで初めて、性別欄にノンバイナリーと記された公的な身分証明書を手に入れることになりました。

 

身の危険を感じる脅迫や嫌がらせを受けても『正義のために闘うんだという自分の意志が揺らいだことはない』と語るGemmaさん。

 

 

日本でのノンバイナリーの免許証やパスポートが認められるようになるまでは、まだもう少し時間がかかりそうですが、Gemmaさんの講演を聞いて勇気づけられた人はたくさんいると思います。

 

Gemmaさんについてもう少し詳しく知りたいと思われた方は、今回参考にさせていただいた下記記事に詳細な情報が載っていますので、ぜひご一読いただけましたら幸いです。

男女どちらでもない「ノンバイナリー」として生きるジェンマ・ヒッキーさんが語る。自分を見つけ、社会を変えるための道のり

 

セクシャル・マイノリティーを支持するアーティスト・曲紹介

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音楽の力セクシャル・マイノリティーを支持しているアーティストもたくさんいます。

 

こちらの記事ではテイラースウィフト“You Need To Calm Down” 以外に、

特に若いアーティストに絞り、選りすぐりの10を紹介してくださっています。

 

その中でも、個人的にかなりぐっときた曲は “HEAVEN (Official Video) ft. Betty Who”

 

アーティストの Troye Sivan は現在25歳。(2020年現在)

南アフリカ・ヨハネスブルグのユダヤ系の家庭に生まれ、彼がまだ2歳の時に家族でオーストラリア西部の都市、パースに移住したそうです。

幼いころから歌手になることに憧れ、学校のコンテストなどでも歌を披露していたとのこと。

 

彼の歌声も、このPVの世界観も本当に美しく、ぜひ一度見て/ 聴いていただきたいです。


Troye Sivan - HEAVEN (Official Video) ft. Betty Who

 

❝自分を偽ってどうやって天国へ行けるの?という、もっともな一節が胸を打ちます。

 

トランスジェンダーのカミングアウトを支持したことで有名なトロイ・シヴァン。自身も同性愛者。

今や押しも押されぬ人気アーティストとなり、アリアナ・グランデなどの大物とのコラボもありましたね。

悩み傷つきながら、いつか真実を口にできることを待ち望んでいる。そんなもどかしく瑞々しい心情を歌っています。❞

よあけのアラーム (id:musiccloset) 様

『テイラー・スウィフト You Need To Calm Down に共感したら次はこれ!LGBT(Q)をテーマにした若きアーティストの曲まとめ』より引用

 

すべて心に突き刺さる名曲ばかりです。

ポップな音楽から力強いもの、切ないバラード曲までさまざまなジャンルを取り上げてくださっています。

 

ぜひ他の曲も、よあけのアラーム様の解説・感想とともに聴いてみてほしいです。

 

おわりに

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前回のセクシュアルマイノリティに関して書いた記事に対して、温かいコメントをくださった方、お忙しい中最後まで目を通してくださった方、本当にありがとうございました。

こちらの記事では、職場の友達と会話しているときにセクシャリティーに関する話題が出たときに感じた気持ち(日本との環境の違い)についてや、私自身のセクシャリティーについてもお話ししています。

 

 

このテーマに関しては最近になって知ったことがたくさんあり、全然自分の中で消化しきれていないというのが現状ですが、

今後も少しずつアウトプットをする中で、私自身も理解を深めていけたらいいなと思っています。

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日本での認知度は世界の他の国と比べるとまだまだ低いと思いますが、一人ひとりが違いを認めて歩み寄ることができれば、

Todrick Hall が “It Gets Better” と力強く歌っているように、ゆっくりとでも状況は変わっていくと信じています。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございましたʕ·ᴥ·ʔ ♡︎⋈*。゚

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