↺ 2021/06/29 更新
「私は差別なんてしないよ。LGBTQIA+とかよくわからないけれど、
いろんな人がいるし、偏見とか持っていないよ。」
そう考えている人へお尋ねしたいことがあります。
例えば友達が 「自分は別に恋愛には興味ないんだ~。結婚したいとか思ったこともないんだよね。」 と話してくれたとき、
その友達のことを励ましたくて 「まだいい人に出会っていないだけだよ、そういう人が現れたらきっと考え方も変わるから!」 とアドバイスをしたとします。
あなたからすると、ただ純粋に友達にも幸せな恋愛をして豊かな人生を歩んでほしい、恋愛の良さを知ってほしいという気持ちで言った言葉かもしれません。
しかし、もしその友達がアロマンティック、アセクシュアルだったとしたら、
その親切心、繰り返されるそのアドバイスが友達をどんな気持ちにさせるのか想像できますでしょうか?
差別をするつもりはなくても、知識がないことで人を傷つけてしまう可能性はあります。
アロマンティック、アセクシュアルという言葉を初めて聞いた、
LGBTQIA+がどういう意味かがわからない、
もしそれに当てはまるなら、たとえセクシュアリティに偏見を持っていないと主張したところで、
残念ながら『差別をしない安全な人』とは認められにくいと思います。
なぜなら、差別をすることなく自分と違うセクシュアリティを持つ人のことも理解しようとするのなら、知識を持っていることが大前提になるからです。
前置きが長くなりましたが、この記事ではLGBTQIA+とは何か、筆者がイギリス生活で感じた日本との違い、自分のセクシュアリティを知るのに役立つおすすめアプリについてご紹介いたします。
この記事に掲載されている写真は、2020年の夏・秋に近所を徘徊した際にスマホで撮影したものです。
LGBTQIA+とは?
「LGBTQIA+って何?LGBT とどう違うの?」と疑問を持たれた方、
「いや…正直 LGBT が何の略なのかもあやふやです。」という方もいらっしゃるかもしれません。
LGBTから一緒に意味を確認していきましょう。
- L – Lesbian(レズビアン)
性自認が女性の同性愛者 - G – Gay(ゲイ)
性自認が男性の同性愛者 - B – Bisexual(バイセクシャル)
男性・女性の両方を愛することができる人 - T – Transgender(トランスジェンダー)
主に身体的な性別と性自認が一致しない人
上記4つに共通している概念は、どれも「男性・女性」の2つの性別をもとにしていること。
LGBTという言葉の知名度が上がるにつれて、悲しいことですが
「セクシュアルマイノリティ= LGBT のどれかである」という間違った認識を持ってしまう人もいるのかなと思います。
これだけでは多様なセクシュアリティを表現するのは不可能だということで、
近年では “LGBTQ+” “LGBTQIA+”という言葉が広まりつつあります。
複数形を表す “s” が語尾についた、“LGBTs” という言葉もあるようです。
LGBT では表現しきれない、その他のセクシュアリティについてもみていきましょう。
Q – Questioning(クエスチョニング)
クエスチョニングとは、自分の性別がわからない・違和感がある人や意図的に決めていない人、決まっていない人、模索中である人のことを指します。
Q – Queer(クィア)
Queerという言葉は、「風変わりな」「奇妙な」という意味を持ち、昔はゲイやトランスジェンダーに対して「変態」と差別用語として使われていた時代もありました。
それを逆手に取り、当事者が抵抗運動(クィア・ムーブメント)や連帯の合言葉として用いるようになり、現在ではセクシュアルマイノリティの総称としても使われています。
I – Inter-sex(インターセックス)
インターセックスとは、身体構造が男性・女性どちらとも一致しない状態(例えば、もともと子宮がない状態で生まれた人や、一般的には男性/女性のどちらかにしかないと言われている身体的特徴のどちらも併せ持っている人など)を表します。
これはセクシュアリティとは別の問題ではないか、LGBTQ+に含めるのは違和感があるのでは?という声もあります。
↺2020/10/14追記
「インターセックス」の正式名称は、DSD(Disorders of Development または Difference of Development の略)です。日本語では「性分化疾患」とも呼ばれており、「体の性の様々な発達」ということを意味します。
インターセックスという言葉を好まない当事者もいるため、DSDと呼ばれることも多々あるようです。
詳しい説明に関しましては、下記の参考にさせていただいたサイト『インターセックスとは?DSD(性分化疾患)との違い【日本の現状から有名人まで総まとめ】』をご確認いただけましたら幸いです。
A – Asexual(アセクシュアル )
アセクシュアルとは他者に性的な魅力を感じない、他者に性的な魅力は感じるがその人と性的な行為をしたいとは思わない人のことを指します。
アセクシュアルの中でも恋愛感情がある人もいれば(ロマンティックアセクシュアル)、恋愛感情、性的な魅力のどちらも感じない人(アロマンティックアセクシュアル)、他にも相手と強い信頼関係で結びついた場合のみ性的魅力を感じる人(デミセクシュアル)など、細分化することができます。
+(プラス)には他にもたくさんのセクシュアリティがあります。
ここですべてを紹介することはできませんが、冒頭でお伝えしたアロマンティックについては後述いたします。
また『 Xジェンダー』という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃると思いますが、これは造語です。
英語にするなら『non-binary(ノンバイナリー)』とすればだいたい同じ意味になります。
どちらも「性自認が男性にも女性にも当てはまらないセクシュアリティ」を指す言葉です。
(誤解のないように端的にお伝えすることは難しいのですが、もう少し丁寧にお伝えするなら「性自認が男性/女性のどちらでもあったり、どちらでもなかったり、変動するものであったりと二元論では表せないセクシュアリティ」を指す言葉です。)
さらに詳しく知りたい方は、違いがわかりやすくまとめられている下記ウェブサイトもおすすめです。
ノンバイナリーとは?【Xジェンダーやクィアとの違いは?】 | LGBT就活・転職活動サイト「JobRainbow」
★その他参考にさせていただいたサイト:
イギリス生活で感じた日本との違い
イギリス・マンチェスターで生活をし始めて1年と半年以上が経過、期間は短いながらも今まで2つの会社でお世話になりました。
どちらも様々なバックグラウンドを持つ人が多くいる、国際色豊かな企業でした。
仕事の進め方や価値観も日本で働いていた時とは大きく異なり、学びも多かったのですが、仕事以外の時間にもたくさんの気付きがありました。
印象に残っているシーンの1つは、1社目の最初の部署で、同期のみんなと一緒にランチをしていたときのこと。
「いつも手の込んだごはんを作っていてすごいね~!」と同期の友達の一人に言ったら、
「ボーイフレンドが料理得意でさ~」とそこから恋愛・パートナーとの関係について話題が発展。
「■■(めちゃめちゃ美形の男の子)はガールフレンドいるの?」と誰かが聞いた時、返ってきた言葉は「ボーイフレンドがいるよ!」でした。
日本だとこういう状況になった時(そもそも言い出しにくいかもしれませんね、話したら拒絶されるかもしれない、受け入れてくれるかわからないという恐怖心がある人もいるのではないでしょうか)、
まだ一緒に働き始めたばかりでお互いのことをよく知らないということもあり、
「あ、へぇ~」「そうなんだ…(気まずい沈黙)。」
という雰囲気になり、気が付いたら誰かが話題を変えている…という情景が思い浮かびます。(もちろんそうなってほしくはありませんが。)
けれど、このとき「そうなんだ!どこで出会ったの?ロシア?ポーランド?」(彼はロシア人でポーランドにも数年滞在していた経験があり、ポーランド語も堪能です。)
「どんな人~?」とみんな普通に会話続行。
これが自然な姿なのに、日本の閉鎖的な環境で育ってきた私にとっては衝撃的でした。
しかも後日、街中を友達とぶらぶら歩いていたら、そのロシア人の同期の友達とばったり会って「前に話していたパートナーだよ~!」と紹介してくれました。
2社目の会社でもゲイやレズビアンの友達(同僚)がいて、みんな自分のパートナーについてオープンに話してくれていました。
(※もちろん、自身のセクシュアリティを人に伝える・伝えないはその人の自由です。無理に伝える必要はありません。ただ、話したいと本人が思ったときにそれが自然にできる環境が整っていることは重要だと思います。)
最近日本でも、LGBTフレンドリー求人や相談窓口を持つ企業も増えてきているようですが、
そんな取り組みをしなくても、みんなが自由にセクシュアリティを開示できる、そしてそれが受け入れられるのが当然な世の中になってほしいなあと思います。
セクシュアリティを知るのに役立つおすすめアプリ、anone,
66個の質問に回答することで、2,000通り近くあるセクシュアリティの組み合わせから、自分に「もっとも近い」パターンを分析してくれるサービス、『 anone, 』
「こころの性」「恋愛的指向」「性的指向」「表現したい性」の4つの切り口からセクシュアリティを分析してくれます。
私の診断結果はこうなりました。
分析結果の解説も、優しく話しかけてくれているように感じます。
ご自分のセクシュアリティが気になった方は、こちらから診断していただけます。
2020年1月にリリースされてから、7万人近いユーザーがいるanone,(2020年4月時点)
このサービスがどのようにしてできたのか、開発者の想いが込められたインタビューもぜひご一読いただければ幸いです。
実は開発者、この記事のインタビュアー、ライターの皆さんはまだ大学生。
広い視点を持った若い人たちがたくさんいると思うと、未来も明るいなと期待できます。
おわりに
私は昔から人と同じ感覚を持つことは難しいと感じていながらも、「変わり者」と判断されるのが怖くて必死に取り繕ってきました。
アロマンティックというセクシュアリティがあるのを知ったのも、またそれが自分に当てはまることに気付いたのもごく最近です。
私の周りにいる友人の多くはすでに結婚・出産を経験しており、幸せそうな友達を見ると「よかったね、おめでとう!」と心から思いますが、「いいなぁ、羨ましい」という感情はあるかと聞かれると、よくわからないというのが正直な感想。
友達はみんな思いやりのある温かい心を持っていて、会うたびに「きっといい人に巡り合えるよ!」と言ってくれるのですが(「結婚したいと思わないって言ってるのになぁ、一人でやりたいことをして生きるのってそんなにダメなの?」と漠然と思いつつも)
自分のことがよくわからない状態だったので、それを他の人に伝えられるはずもありませんでした。
(※アロマンティックでもご結婚されている方はおられます。恋愛関係ではなくても、『精神的な強いつながり』を大事にする『ズッキーニ』と呼ばれる関係性も最近では生まれてきたみたいです。)
友人から受け取る言葉に傷ついたとかそういうわけではなく、「なんで自分は周りの人達みたいにできないんだろう」「どこかおかしいのかな?」と自分を責めたり、共感を得られることがなく孤独だなと感じたり。
大切な人に話をしても理解してもらえなかった悲しい経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、それは自分が何者なのかが分かった後に起こる問題だと思います。
『まずは知ること、
自分で自分を認めてあげること。』
それができてはじめて、次のステップへと進むことができるのではないでしょうか。
私は30歳を目前にして、ようやく自分のことがわかってきました。
もっと早い段階で気付いていれば、もっと楽に生活できていたのかもしれません。
多様性を理解し受け入れる社会をつくるためには、知識を得ることが第一ステップになります。
自分のことがよくわからない状態で、それをうまく人に伝えることは非常に困難だからです。
知ることがすべてのはじまり。
まだまだ分からないことだらけで勉強中ですが、 “It's never too late to learn.” という諺もあるように、少しずつでも理解を深められたらいいなと思います。
誰も自分を偽らずに済み、
一人ひとりが自分と違う価値観を持つ他者を理解し尊重することが当たり前にできる、そんな社会へと変わっていってほしい、その一部に自分もなりたいと願いを込めて。
最後まで読んでいただきありがとうございましたʕ·ᴥ·ʔ ♡︎⋈*。゚
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