❝この映画は、とある中学校の3学期、「2年6組」35人全員に密着し、ひとりひとりの物語を紐解いていきます。
そこには劇的な主人公もいなければ、大きなどんでん返しもありません。
ただその誰もが、いまの私たちと同じようにわかりにくい問題にぶつかり、解決の仕方もあいまいなままに、前へ進んでいきます。全くの他人であるはずなのに、その1人1人がどこか自分と重なってしまう…。
あのころ私たちは、どんな人が好きで、どんな人が嫌いで、何に傷ついて、何に悩んで、何を決意して、何を夢見ていたのでしょうか。
この映画は、その時のいろんな気持ちを思い出す「心のタイムマシーン」のような映画です。❞
引用元:14歳の栞便りー 発行『14歳の栞』制作チーム2021年3月 vol. 1
私は普段、ジブリやアニメ以外の邦画を見ることはほとんどありません。
実際に、日本の映画を見るのはこれが数年ぶり。
そんな私にとってもこの作品は深く心に刺さり、とても考えさせられるものとなりました。
感動を忘れないうちに、映画を見て感じたことを振り返って考えてみたいと思います。
この記事に掲載されている写真は、2021年2月にイギリスの公園でオリンパスのカメラを使って撮影したものです。ジオラマモードで撮影したものもありますが、写真に加工はしておりません。
◆◇◆◇◆ 目次 ◆◇◆◇◆
印象に残っている言葉・それを受けて考えたこと
作品内でいくつか印象に残っている生徒たちの言葉。
そのフレーズと、それを聞いた時に感じた率直な気持ちをここに残したいと思います。
(※セリフは映画を見終わった後に振り返りながら書き留めたものなので、実際に話されていた口調や表現とは少し違いがあります。再度映画を見る機会があれば、発言されていた実際の言葉の通りに修正したいと思います。)
「自分を殺すことを学んだ」
どういう質問を受けての回答だったのか、流れは明確には思い出せませんが、
2年6組の生徒の一人である女の子が発した言葉です。
小学生の頃、友達が「鉄棒であそびたい」と言ったときに、彼女は自分の本音を隠さず「私はブランコであそびたい」と主張したため、困らせてしまったことがあった…と原点となった出来事を話してくれました。
「自分を出さない方がうまくまとまるのかな…」
「私がいることで(自分が周囲に合わせることで)
周りの空気が良くなればいいなって」
そんな風なことを言っていた彼女に、
彼女のすでに倍の時間を生きている今も、同じ悩みを抱えている一人の人間として、
「自分の気持ちを押し殺してまで、無理にまわりに合わせなくてもいいんだよ」
「まだ中学生なんだし、他の人の意見を尊重するよりも自分のやりたいようにやったっていいんだよ」と勝手に伝えたくなりましたが、
中学校も立派な集団社会のひとつ。
周囲の人たちと調和しうまくやっていくには、ときには自分を出さない方がよいこともあるんだよな、中学生はまだまだ子供だと思っていたけれど、大人と何も変わらないのかもしれないなと過去を振り返って改めて考えさせられました。
同時に、もわっとした別の感情も湧き上がってきました。
みんなとの関係・環境を良くしたい一心で
「個性を消す」「自分の主張は控える」という手段を選んだその子に対し、
私の理由はかなり自己中心的だったこと。
「まわりと違う意見を言ったらわがままだと思われるかもしれない」
「他の人と違うことをしたらおかしい、変だと馬鹿にされるかもしれない」
そんな後ろ向きな思考で、
ただただ自分を守りたい一心で、
自分を殺してやり過ごしてきたんだよなぁと。
気付きたくなかった、蓋をしていた自分の過去と
対峙するきっかけを与えられることも、
この映画の持つ力のひとつだと思います。
映画の中で特に印象に残っている、別の女の子のセリフにこんなものもありました。
(※こちらも実際の言葉遣いをはっきりと思い出せないため、雰囲気だけです、すみません。)
「なんかここでこんなことを言ったらおかしいって思われないかなって…後で後悔することが多いんですけど」
~中略~
「キャラ作り失敗したかなって…できるなら子供の頃に遡ってキャラを変えたいです。」
大人になった今は『キャラ作り』に悩んだりすることは昔よりも減りましたが、
学生時代はまさにこのモヤモヤを抱えながら毎日生活していました。
そして大人になってからもどこかでずっと
「周りの人たちから抱かれるイメージの中に閉じこもったまま、窮屈な日々を送るのは嫌だな、もっと自由に生きていきたい。」という想いを持ち続けていたのかもしれません。
日本を少し離れてアイルランドとイギリスで
ワーキングホリデービザを利用して新しく生活を始める際、
知人がひとりもいない環境に身を置き、言語と文化の壁を越えてゼロから生活を始めることにまったく不安がなかったと言えば嘘になりますが、
過去の自分を知っている人が一人もいない世界に飛び込むことができるドキドキと、これまで育ってきた日本のしきたりのようなものから逃れられる解放感の方が恐怖よりもはるかに上回っていました。
私はこれまで、
「誰も自分のことを知らない世界で初めからやり直したい。」と急にすべてをリセットしたくなる衝動に駆られる時期が度々ありました。
でもそれは、「これまで仲良くしてくれていた人たちとの繋がりをすべて断ちたい」という破壊衝動のようなものではなく、
自分のバックグランドを何も知らない人たちであれば、こちらがどんな風に振舞っても「らしくない」と違和感を持たれないで済む・自由に生きられると自分で自分を縛っていた環境から抜け出したいという欲求が元となり生まれた感情だったのかもしれません。
もうひとつ、とても印象に残っている生徒の言葉を最後にお伝えしたいです。
「大人になっても忘れたくないことはある?」
と聞かれたときの、ある男の子の回答。
「アイスを食べているとき」と、
「○○さん (好きな女の子) と
メールしたり電話したりしてるとき」
そう答えるシーンの直前に、
その子が仲良くしている女の子と二人で一緒にアイスを食べている光景が映っていました。
なんだかとてもシンプルだけれど、心を動かされた瞬間。
私は中学生の頃に恋愛を経験したことはありませんが、
初恋の持つ威力ってすごいんだろうなと思います。
(14歳って「初恋」じゃなくてもう何度目かの恋愛なのかもしれませんが…)
そういう淡くて切ない想いを表現した曲を聴くとき、私は本や小説に出てくるキャラたちと重ね合わせながら、「この曲はこの物語のこの登場人物たちにぴったりだな」と妄想したりしながら勝手に世界観に入り込むのですが、
実体験で思い出せる記憶がある人たちは、また違う感情になるんだろうな…とか考えたり。
※恋愛感情を持たない人もいて、そういう経験がないことに対して引け目を感じる必要はないと思いますが、単純に自分とは異なる経験を持つ人たちの頭の中や心の内側が気になります。
他人に対して恋愛感情を持つことがないセクシュアリティ、アロマンティックやその他の LGBTQIA+についてまとめた記事はこちら☟
この男の子が将来、どんな人に出会ってどんな経験をするのかわかりませんが、
中学生の時に感じた強い気持ちを忘れないでいてほしいな、
忘れても、どこかでまた思い出せる日が来てほしいなと勝手ながら願ってしまいました。
「好きなこと」が自分にとっての「特別なもの」ではなくなってしまうことが、大人になって増えた気がします。
興味が薄れたとか、感情がなくなったとかそういうわけではなく、気が付いたら埋もれて見えなくなってしまっているような。
どんなことをしているときに心が動かされるのか、満たされるのか。
人の数だけ答えがあって、そこには「正しい」や「間違い」はない。
「好きなこと」は成長するにしたがって、
一緒に過ごす人たちとの間で変化していくものなのかもしれませんが、
昔と同じものに心が動かなくなったとしても、
きっと昔「好きだったこと」は自分のルーツとなり、
どこかで自分を支えてくれるんじゃないかなと思います。
自分が「経験したこと」はどれだけ時が流れても変わらない事実。
14歳だったときの私たちの中にあった感情や思い出が、
一気に溢れ出してくるような、
そんな不思議な体験ができる映画です。
人によって響く言葉も異なるだろうし、
その受け取り方も、抱く感情もまったく違う、見る人によってどう影響するかがこんなにも変わる映画はなかなかないと思います。
この感動は、ぜひ劇場で味わってみてほしいです。
『14歳の栞』作品情報
- 監督: 竹林亮 氏
- 企画: 栗林和明 氏
- 主題歌: クリープハイプ「栞」
(ユニバーサル シグマ)
3月31日に大阪ステーションシティシネマにて映画を見たときは、
下の写真のような来場者特典をもらいました。
私が中学生の頃はこのような「学級通信」があったなぁとしみじみ。もう今はないのでしょうか…
【劇場情報】
※上映期間・上映時間は劇場により異なります。
詳しくは下記公式HPをご確認ください。
おわりに
この映画を一人でも多くの人に見てもらいたいと思うのは、
「鑑賞した人同士で感想を共有できれば面白そう」という理由の他に、もう1つ別の理由があります。
なんと!同じはてなブロガーさんの
タカヒロ先生 (id:ToyT810) も作品に登場されているのです(!)
撮影当時、ちょうど対象となった2年6組の生徒たちの英語を担当されていたとのこと。授業中の風景や、生徒とのやり取りのシーンなどで何度か目にする機会がありました。
↳『14歳の栞』の魅力をわかりやすく伝えてくださっています!
若い学生さんたちと毎日接するのは相当なエネルギーが必要なんだろうな、「先生」ってすごいなぁと思いながら、
タカヒロ先生のブログを一読者としていつも楽しみに読ませていただいていましたが、こうした形で実際のお姿を拝見することができるとは想像していなかったので、貴重な機会を得られたことが嬉しかったです。
そういった意味でも、同じはてなブロガーさんにはぜひ見ていただきたい映画です!
映画を通してどんな気付きを得たのか、どんな感情を抱いたのか、
感想を語り合うことができれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございましたʕ·ᴥ·ʔ ♡︎⋈*。゚
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今回も【イギリス情報】とは関係のない内容になってしまいましたが(すみません…)、イギリスで撮った写真も記事内で使用しています。
また気持ちが乗ったときに、マンチェスターの魅力などをお伝えできる内容をお届けしたいです。