私は幼い頃から吃音の症状が出ていました。
後から母に聞いた話によると、
3歳くらいからすでにどもっていたそうです。
私は長女で二人兄弟なのですが、兄弟の名前( 2文字)を呼ぶときに、
10回くらい 1文字目を繰り返していたこともあったとか…。
どもり過ぎて他の人ともうまく会話できなかった記憶も断片的にあります。
年齢が上がるにつれて症状はだいぶましになっていったと聞きましたが、
それでも学生時代だけでなく、渡英する前に働いていた職場でも
突発的に症状が出ることがありました。
接客業だったので、わりと致命的\(^o^)/
昔に比べるとましになったとは言え、
完治するまではまだまだかかりそうです。
というか、そもそも完治するものなのでしょうか?
大人になってからも症状に悩みながらも
なんとか「普通の人」っぽく取り繕ってきた私が、
第二言語との関係性にも触れながら、
「吃音症」について少し掘り下げて考えてみたいと思います。
※この記事に記載されている写真は2021年1月上旬に Notting Hill(ノッティングヒル)で撮影したものです。
パスポート更新のためにロンドンへ訪れた際に寄りました。
※この記事に載せている写真は、すべてカメラで撮影したものです。写真に加工はしておりません。
- そもそも「吃音症」って何?
- 吃音ってなんで起こるの?
- 吃音を治すにはどうすればいいの?
- 吃音症を克服した俳優、エミリー・ブラント
- 別の言語で話しているときにも、吃音の症状は出るのか
- 大人の吃音の治し方
- 吃音症ではない人に伝えたいこと
- おわりに
そもそも「吃音症」って何?
吃音(きつおん)とは、なめらかに話すことができない状態を指し、「流暢性の障害」ともいわれます。話すときに音や語の一部を繰り返したり、引き伸ばしたり、言葉が詰まるのが代表的な症状です。
世界保健機関 (WHO)の診断基準『ICD-10』では「吃音症」と呼ばれます。
米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアル『DSM-5』では「小児期発症流暢症(吃音)」という名称で、神経発達症群に分類されており、小児期に発症するものを指しています。大人になってから発症した場合は「成人期発症の流暢症」という診断名となる場合があります。
引用元:
大人の吃音とは?その原因、対処法、発達障害との関係などを解説します | LITALICO仕事ナビ
「吃音症」には以下の3つの代表的な特徴があるようです。
(この中から1つ以上が症状として現れます。)
- 連発…音や語の一部のくりかえし
例:「か、か、からす」- 伸発…引き伸ばし
例:「かーーらす」- 難発(ブロック)…ことばが詰まって出てこない
例:「(…………)っからす」「(………)こっこんにちは」
一般的には「連発」→「伸発」の段階を経て→「難発(ブロック)」へと進行することが多いとされています。
私は小児期に発症しましたが、大人になった今でも
(イギリスにいる直近2年間は大丈夫ですが、渡英3週間前まで勤務していた職場では)時々症状が出ることがありました。
劇場の案内係として働いていたのですが、勤務開始から1年以上が経ち、仕事にもだいぶ慣れてきたタイミングで突然症状が再発しました。
昔から特定の言葉を言おうとしたときに、最初の1音が詰まったり、どもることがあったのですが(中学の時はかなりひどかった記憶があります…)、
接客業なのに「ありがとうございました」が言えなくなりました。
言わなきゃ!と焦ると余計に「あ」が言えなくて、
やっと発音できたと思ったら
「っっっぁ…あ、あ、ありがとうございました!」
みたいになるんです。
\(^o^)/オワタ\(^o^)/
緊張する場面とかであれば自分としても納得がいくのですが、
終演後にお客様をお見送りするタイミング(つまり、ほとんど気を張る必要がないタイミング)で頻繁に起こる時期がありました。
私は「放送のアナウンス」のお仕事も任せていただき、最大1,500人近くのお客様が自分の声を聞いていると思うと緊張感はありましたが、
放送中に噛んでしまったことはあってもどもったことは一度もなく、
終演放送が終わり放送室から出て、ただお見送りをするだけという状況でも吃音が出ました。
さっきまで普通にアナウンスしてたんですよ!今どもってるけど!!
…と、聞かれてもいないのに勝手に言い訳したくなることも。
だってやっぱり「っっっぁ…あ、あ、ありがとうございました!」
って壊れたラジオみたいに言ってる人がいたら
「え、どした?」って顔で見られるんですよね、仕方ないけど。
「もうだめだ…」って日は、
「ありがとうございました」の代わりに「お気を付けてお帰りください」など別のことばを使ったり、
「いや、ちょっと頑張ってみよ」と思えた日は、発声する工夫を思いつく限り試しました。
「あ」が言えないので、
「りがとうございました」
と言ったり(意外と自然に聞こえます笑)、
「りがとうございました~」と伸ばして、
「たーぁぁありがとうございましたー」
と無理やり繋げたり。
(ちょっと居酒屋店員みたいに聞こえるのが難点。)
今思うとなんて惨めな努力なんだって笑いそうになりますが、
それくらい必死だったんですよね(笑)
ちなみに劇場の案内係として働いていたときのことは、こちらの記事で回想しています☟
吃音ってなんで起こるの?
そもそもどうして吃音が出てしまうのでしょうか。
吃音の原因は主に2つあります。
1つは幼児期(2~5歳)に発症する場合がほとんどの『発達性吃音』、
もう1つは10代後半以降に発症する『獲得性吃音』です。
獲得性吃音は、神経学的疾患や脳損傷などにより発症する「獲得性神経原性吃音」と、心的なストレスや外傷体験に続いて生じる「獲得性心因性吃音」に分類されます。
引用元:
大人の吃音とは?その原因、対処法、発達障害との関係などを解説します | LITALICO仕事ナビ
★吃音の約9割は『発達性吃音』に分類されるようです。
『発達性吃音』の場合、
年齢・発達とともに吃音の発生、また現れ方も変化していきます。
【幼児期】
連発(例:か、か、からす)、伸発(例:かーーらす)での吃音の発症が多いとされています。
2~4歳児の5%が吃音を発症するといいます。幼児期に発症した吃音の半数以上が、小学校入学前になくなると言われます。
【学齢期】
難発(ブロック)での吃音の発生、展開が多いとされています。
どもらずに話そうとするために行う言葉の言い換えや随伴行動などの「工夫」が始まる場合もあります。
【思春期】
学齢期、吃音への意識から始まった「工夫 」が複雑化して身につき、一見どもっていないように見えることもあります。また、人によっては話す場面を避けるという「回避行動」が見られることも多い年齢です。
【成人期】
18歳以上では、全体の1%に吃音が残ると言われます。
引用元:
大人の吃音とは?その原因、対処法、発達障害との関係などを解説します | LITALICO仕事ナビ
大抵の方は成人するまでに自然と治るようです!
私もその中に入りたかったのですが、こんなにこじらせてしまったのは何故なのか…
私の場合 吃音歴=ほぼ年齢 なのですが、これなんとかならないのかな…
吃音を治すにはどうすればいいの?
これが1番気になるところですね。
何度か引用させていただいている下記記事には、以下のように書いてありました。
吃音は、原因や症状が非常に多岐にわたるため、確立された治療法というものはまだ存在しません。
Σ(゚∀゚)うわぁぁぁあ
厳しい現実突きつけられた―― !!
嘘でもいいから夢を見させてほしかった…(›´ω`‹ )
18歳以下の人だって、いつか自然に治るとしてもできるだけ早く治まってほしいですよね。
悲しい事実に心が折れそうになりますが、逆に、
飲んだら一発で治る薬とかがあるなら、さっさとその薬に頼って完治させてるわ!
って話で…。
人によって症状や程度は異なるため(原因や期間も違いますしね)、
全員に当てはまるような「効果的な治療法はこれです!」というものはありませんが、
克服した人の一例を見てみたいと思います。
吃音症を克服した俳優、エミリー・ブラント
この投稿をInstagramで見る
↳※彼女の公式 Instagramアカウントがないため、ファンアカウントより
イギリス人・女優、Emily Blunt(エミリー・ブラント)、
知らない人はいないのでは?というくらい、有名なハリウッドスターですよね。
『プラダを着た悪魔』(2006年公開、原題:“The Devil Wears Prada”)で注目され、
最近では、『ガール・オン・ザ・トレイン』(2016年公開、原題:“The Girl on the Train”)、『メリー・ポピンズ リターンズ』(2018年公開、原題:“Mary Poppins Returns”)、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2020年公開、原題:“A Quiet Place: Part II”)など数多くの話題作に出演しています。
彼女は幼い頃、かなりひどい吃音症に悩まされていたそうです。
最もひどかったのは12歳の頃で、人との関りを避け、できるだけ話さないようにするくらいだったとか。
そんな彼女を変えるきっかけとなったのが 「演劇との出合い」。
「学校の先生が演劇クラスに誘ってくれたの。それまで演技に全く興味はなかったけれど、面白い声や北部なまり、いつもと違うアクセントで話したらどう? と言ってくれた。
それで誰かを演じるように違うアクセントで話したら、本当に流暢に話せるようになったの。そのことがきっかけで自分に自信がつき、人前でしゃべれるようになったわ」と演技をきっかけに吃音症を克服。
その後、歌と演劇を学ぶ全寮制の学校に進学したブラント。そこで開花させた歌の才能は、レコード会社から歌手デビューのオファーを受けるほど。
やがて、女優の道へと進みながらも「ナターシャの歌に」「イントゥ・ザ・ウッズ」出演時には、美しい歌声を披露してみせた。
引用元:
エミリー・ブラント、躍進の裏にあったのは“吃音症の苦悩”と“演劇との出合い” : 映画ニュース - 映画.com
他の誰かを演じきることで吃音症を克服し、才能を開花させたエミリー・ブラントさん。
かっこいいですね。
人と話すことを諦めなければいけないほど、きつい症状に悩まれている方の苦労は計り知れませんが、
そこから自分を変えるために努力し続けられた姿に感動します。
別の言語で話しているときにも、吃音の症状は出るのか
エミリー・ブラントさんのように「役を演じる」=「自分ではない誰かになりきる」ことで吃音の症状が改善される場合もあるようですが、
別の言語で話しているときはどうでしょうか。
英語を使って話しているときは自分を偽っている…というわけではありませんが、
昔から「英語で話しているときの自分」は、
「日本語で話しているとき」とは性格にも少し違いがあるような気がしていました。
別の言語を使用しているときは人格が変わると感じている人も少なくないと思います。
私が英語を学んだのは中学に入ってからのため、
バイリンガルの人のように流暢には話せませんが、
そのおかげなのか、英語で話すときは吃音の症状は出ません。
「英語だと大丈夫」というケースは他の人にも同じくあるようで、
下記サイトにはその要因と考えられることが2つ書いてありました。
- 脳の領域が違う
「第1言語と第2言語では、各言語が司る脳の領域が違う」という意見。
吃音が出やすいクセを持つ領域とは違った領域を活動させて話すことで、滑らかに話せることがあるそうです。- 緊張しない
「日本語で吃音が出るのに英語を話すなんて、さらに緊張するだろう」と思う人がいるかもしれません。
しかし、このような考え方もあります「日本語では上手に話せて当然だけれど、英語は上手に話せなくても当たり前だよね」。
こう考えることで逆にリラックスでき、吃音が出ずに話せるということがあるそうです。
日本語で話すことが苦痛で耐えられなくなってしまった場合は、極論ですが
生活のベースを別の言語に変更するという手もあるかもしれません。
大人の吃音の治し方
「そんなことを言ったって、今の仕事を辞めるわけにはいかないし…」
「家庭もあるから、どうしても日本語ベースの生活は変えられない…」と、簡単には今の生活を手放せない人の方が多いかもしれませんね。
大人になってから症状が出た人や、そこまでひどくはないけれど
ときどき出る症状に悩まされている人もいると思います。
私も完全に克服できたとは言い切れないため(現在症状は出ていませんが、帰国したら再発するかもしれないので…)
「私はこうやって克服しました!」というようなことはお伝え出来ませんが、
とても役に立つ記事を発見したので、この機会にシェアさせていただきたいです。
それがこちら☟
※この記事では「大人の吃音」を治すことを目的とした、効果的なトレーニング方法を紹介されています。小さいお子様の吃音を改善させるために何かしてあげたい…という場合には、趣旨が異なりますのであらかじめご了承ください。
いろいろ自分なりに試してみたけど、悪化するばかりでどうしようもない…という方にはぜひご一読いただきたいです。
「10個の改善方法」とありますが、背景にある考え方や癖の治し方など、自分の内面と向き合うことに焦点を当てながらアドバイスをしてくださっています。
吃音症ではない人に伝えたいこと
吃音を持っていない人に、最後にお伝えしたいことがあります。
それは「落ち着いて」という言葉は逆効果になるかもしれないということ。
緊張からどもってしまう人もいるかもしれませんが(そういう場合は有難いお声がけになるかもしれませんが)、
吃音が出ているからといって、別にいつも焦っているわけではありません。
むしろ内面はものすごく落ち着いていることの方が多いです。
(「私の場合は」というわけではなく、そういう風に感じられている人も実際に多くいらっしゃいます。)
冷静なんだけど口が言うことを聞いてくれないんですよね、困ったことに。
そんなときに、「落ち着いてゆっくり話して」って言われたら、
優しさから言ってもらっているとはわかっていても、馬鹿にしないでって悔しい気持ちになってしまいます。
じゃあどうしてほしいのって話なんですが…(笑)
とりあえず「どもっていても、頭は正常に動いてますよ」ってことだけ知っておいてほしいです。
おわりに
「吃音症」と一口に言っても、人によってその度合いは異なり、
置かれている立場や状況も全然違うと思いますが、
同じ辛さを分かち合うことのできる「同士」のように個人的には感じています。
変な目で見られることがあっても、
理解して支えてくれる人も絶対にいることを忘れないでくださいね。
大人になってから発症してしまった人は戸惑うかもしれませんが、
まずはありのままの自分を受け入れてあげてください。
それが、最初の一歩です。
この記事に載せている写真は、すべてロンドンの Notting Hill(ノッティングヒル)で撮影しました。
Notting Hill についてはこちらの記事で詳しくご紹介しております☟
他にもイギリス旅行の参考にしていただけるような情報をお届けできるよう、記事を更新しています。イギリスの旅行計画を作る際に、何かのお役に立つことができれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございましたʕ·ᴥ·ʔ ♡︎⋈*。゚
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
ブログ村のランキングサイトに登録しています。
下の【イギリス情報】と書かれたバナーを押して
応援していただけると励みになります 。
よろしくお願いいたします(人ω・*)